29歳現役おひとり様。

29年間のあれやこれや

日常は続かない

その後、葬儀のあれこれが終わる頃には

母とは元通りになったし、




父がいない以外はすっかりいつもの生活だった。





私が中学三年生になり、

大学生になった兄は一人暮らしを始めた。




兄とはとても仲がよかった。




家にいた頃は、怖がりの兄のお風呂や

トイレについていってあげたり、

二階に一緒にあがってあげたりしていた。



小学生の頃は、一緒におまつりにいったり

雪が降ったら庭でかまくらをつくったり

朝からゲームしたりしていた。



ケンカらしいケンカもなかったと思う。



友だちの多い兄が泊まらせた賑やかなへやの隣で、

眠りにつくのも実は嫌いじゃなかった。






父が亡くなるときも、一緒にいて同じ目線で話をできたのは兄だった。






高校生の頃、帰省した兄に、駅まで送ってもらったこと




サンタさんがこなくなった日、

一緒に確認しあったこと、






全部、ぜんぶ覚えているのに






もう声が思い出せない。







兄が死んだのは、

わたしが高校二年生のときだった。