会えなかった1ヶ月。

私はこの日をどれだけ待ちわびていたんだろう。

胸の奥底にしまい込んだと思い込ませて、見ないようにしていた「特別」を、やっぱり期待してしまっていたんだと、思い知らされた。

そうでないことなんか知っていたはずなのに。

「一目惚れ」

って、都市伝説だと思っていた。

電流が走るだの、ビビッときただの、第一印象から決めてましただの。

そんな奇跡みたいなことがあるなんて、私には信じられなかった。

なんて書くと、でもの逆説から始まる一目惚れ物語が開幕しそうだが、そうではない。

私は今もそれを知らない。

思い返すと、感情で恋愛を始めたことがあったのか疑問だ。

いつも、自分を好きだからとか周りからどうだとか、安心安全で幸せになれる道を打算で選んで恋をしてきたように思う。

もはやそれらを、恋と呼んでいいのかわからないけれど。

久しぶりに、恋をした。

その前の恋愛のどれが恋だったかもうわからないから、久しぶりという表現も正しいのかはわからないけど。

でも、その恋と向き合うのが嫌で嫌でずっと逃げてきて、その結果始めもしないままたった今終焉を迎えたような、どうしようもない恋だ。

仕方ないと言い聞かせ、無理矢理幕を降ろしている私は、情けないと分かっていても、上げている勇気がないのだ。

だから好きにならない。

やめるんだって思ってきたのに。

終わらせたかったのに、終わりを認めたくない私はなんて勝手なんだろう。

そこそこの容姿と性格で生まれて２９年。

それなりに恋愛もしてきたつもりだった。

当たり前のように誰かを好きになって、当たり前のように付き合って、当たり前のように結婚して、当たり前のように家庭を持ち家族を作るのだと、

なんの根拠もなくそれらを当然だと。

1番先立つ「好き」が1番難しいなんて、思いもしなかった。