29歳現役おひとり様。

29年間のあれやこれや

しっぺ返しされたんだなあって。

なんて無責任に好意を口にするんだろう。




大した意味もないくせに。
















そう、思っていたのに。



















この感情を的確に表す言葉が見つからなかった。

ぼーっとして、お腹のなかがぐるぐるしているような、半分夢の中のような。







ずっと好きだったんだ、と。



一年ぶりのその声が私にそう告げた。










始まりはいつもの調子だったから、またくだらない話が始まるんだと身構えていなかった。





彼女がいると言われても動かなくなった心にほっとしたし、結婚でもするのかと考える余裕もあった。



私と佐藤くんが一緒に働いていて、ずっと一緒にいたあの時期からだと知ったときにはさすがに少しショックだったけど、



それでも心の隅で、ああやっぱりなんて思ったりもしていた。




ずっと断っていたけど、お試しでとおしきられ付き合ったと。



付き合っては別れを何回も繰り返してきたらしい。



その理由も、私に彼女のことを言えなかったのも、わたしが好きだったからって。






ノーガードの私に完璧に打ち込まれた。



そこから全く話がのみこめなくなって、黙っているしかできなかった。






何言ってるのか理解できないって、こういうことなんだなと少し冷静になった今はなるほどなと変な感心をしてみたり。







今も一番好きなのはちえちゃんなんだと言った。


だから会いたいけど、迷惑になることもわかっているから誘えなかったと。



あの頃に伝えてたら付き合ってた?とも聞かれた。







わたしはどれにも本当の言葉で返さなかった。









私が幸せになるためには、佐藤くんじゃダメなんだ。



だから、


はやく言ってくれたらとか、


はやく伝えていればとか、


じゃあ今後はとか、




そんなことは微塵もよぎらなかった。






それでも私は、




ずっとその言葉が聞きたくて、





今だってすごく会いたくて、








どうしようもなく

好きで好きで仕方がないんだと。





そんなこと、言ってはいけなかった。






今、私が付き合っている人を

大切にして幸せになるべきだと思うから。







なんだか、今まで自分がしてきた不誠実が

全てしっぺ返しされたような気分だった。






自分のきもちと向き合わず、



適当な付き合い方をして、



相手もそうだと決めつけ、




傷つかないための予防線をはって。








上手に恋愛できていたら、

佐藤くんと一緒に幸せになれると

思うこともできたのかもしれない。








でも、そんなの今さらだ。






佐藤くんと出会う前から、



そんなわたしをつくってきて、

正当化してきた自己責任だ。