もうすぐ、また一つ歳をとるけど、
全く去年と進歩してない自分がもはや笑える。
今年も新しい職場に異動をして、また今年も佐藤くんのときのようにやらかしてしまった。
さすがに、落ち込んでいる。
ただ、佐藤くんのときと違うことを見つけては、やっぱりあの人異質だったんだなと確認したり、
ああ、好きだったんだなと確認したり。
優しい喋り方が好きで、ちえちゃんって、呼ばれるのが好きだった。
たまに2人のときは呼び捨てになったりもしたけど、私は佐藤くんの呼ぶちえちゃんがすごく好きだった。
大きな手で触られるのが好きだった。
ふにふにの肩に腕まくらされるのが好きだった。
いっぱい食べるとこが好きで、一緒にご飯にいくのが好きだった。
くだらないことも、知らないこともたくさん教えてくれるおしゃべりが好きだった。
職場で毎日会ってたし、
ラインも電話もたくさんして、
毎週のようにのみにいって、
泊まったり泊まりにきたりして、
手も繋いだし、体も重ねたし、
何度も愛の言葉を求められたけど、
ああ、そういえば
気付いてしまったけど、
一度も好きとは言われなかったな。
忘れたはずの、ぎゅっとする胸の苦しさを思い出してしまった。
一緒にいた、あの一年のどこかで、
少しでいいから、私のことを好きだとか特別だとか、思っていてくれたらいいのにな。
なんて、考えてしまう私は愚かだろうか。