29歳現役おひとり様。

29年間のあれやこれや

なにもかわらないままの私。

もうすぐ、また一つ歳をとるけど、




全く去年と進歩してない自分がもはや笑える。









今年も新しい職場に異動をして、また今年も佐藤くんのときのようにやらかしてしまった。









さすがに、落ち込んでいる。







ただ、佐藤くんのときと違うことを見つけては、やっぱりあの人異質だったんだなと確認したり、





ああ、好きだったんだなと確認したり。











優しい喋り方が好きで、ちえちゃんって、呼ばれるのが好きだった。




たまに2人のときは呼び捨てになったりもしたけど、私は佐藤くんの呼ぶちえちゃんがすごく好きだった。








大きな手で触られるのが好きだった。







ふにふにの肩に腕まくらされるのが好きだった。






いっぱい食べるとこが好きで、一緒にご飯にいくのが好きだった。







くだらないことも、知らないこともたくさん教えてくれるおしゃべりが好きだった。











職場で毎日会ってたし、





ラインも電話もたくさんして、




毎週のようにのみにいって、


泊まったり泊まりにきたりして、






手も繋いだし、体も重ねたし、




何度も愛の言葉を求められたけど、









ああ、そういえば

気付いてしまったけど、







一度も好きとは言われなかったな。












忘れたはずの、ぎゅっとする胸の苦しさを思い出してしまった。









一緒にいた、あの一年のどこかで、




少しでいいから、私のことを好きだとか特別だとか、思っていてくれたらいいのにな。










なんて、考えてしまう私は愚かだろうか。

そして。

電話がきたけど、でなかった。




いつも大体ひまなのに、誘われた今日に限って飲み会。







佐藤くんと飲んだ方が楽しかったんだろうなって思ってしまうかんじだったけど、





でも、大きく後悔しなくて済んでよかった。













それでもやっぱり、




触れたくなってしまう。











これが本能なんだろうなと思う。











でももう、






好き






じゃない。












大丈夫。

周りの反応

その後は、個人の仕事に合わせて夏期休暇をとったり出勤したり様々だったので、佐藤くんとも毎日会うわけではなかった。




最後に会った日に、じゃあ詳しくはLINEで、ということで別れた。





金曜日の夜、仕事の関係で近所の祭りの見回りにでかけた。

1時間ほどふらっとして、焼きそばを買って職場で食べることにした。



ちょうど一緒にいたのが、年の近い女性陣だったので、必然的に話題は恋愛へと流れた。






「大原さんの彼氏、同じ大学の野球部ですよね」





「同じって、W大?えーすごーい!」







「えーいいなあー。もうこの歳になったらどう出会ったらいいんですかね」







「本当ですよー。困ったなあ」







「でも、ちえさん佐藤さんと仲良しですよね?どうですか?」






「同い年だからね。てゆーか誰にでもあれじゃないですか」







「まあ、佐藤くんはちょっとねー」








上手にバレずにいられているのは、彼のキャラクターが大きかったなと思う。




まあ、この時はバレるとかの次元まで進展した仲でもなかったけど。







次の日の土曜日。




雨の中、大学の友人と出かけていた。あるスポーツをやっていたので、その同期10人で集まることになっていた。





ちなみに、その中の半数は結婚し、結婚の順に数人子どももでき、私以外の子たちは彼氏がいて同棲したり通い妻したりしていた。




10人いれば全員フルで集まることはそうないが、気の合う数人とは月に何度もあう仲だった。


ただ、少し前まで、いろんな意味で遊んでくれていた子たちにも、誘いづらさを感じるようになってかていた。





そんな中、適当に始まった彼氏と別れ、明日は同僚と旅行にいくんだという話を、促されて話す。近状報告である。





「いや、やめときなよ…」





口々に、いわれた。




私は頑なに、





「そういうんじゃないから。佐藤くんとは友だちだから!」




と、言い張っていた。






「じゃあ何もしないわけ?」





「いや無駄だよこいつしないしない詐欺だから」





「あー私たち何度もね、騙されたよね」







もはや吊るし上げ状態の中、会は終わった。







私自身が、常に信頼できぬ行いをしている上に、佐藤くんとのたった数ヶ月数回のあれこれがるので、不信感満載だった。






でも別に、良かったのだ。




なにがって、別に佐藤くんとどうこうなる気はないから。





一緒にいて楽しいからそれだけでよかったのだ。