29歳現役おひとり様。

29年間のあれやこれや

その後の話。

それからなんとなく普通に話して、



またご飯に行ったり泊まりに行ったりを、さらに頻度を上げながら続けていた。





これってなんなのかなと、思いながらもなにもできずにいた。




出かけたいねといわれ、映画にいった。


手を繋ぎながらあるいて、17時から別の予定だった私にその後くる?と誘いをくれて。



これで付き合ってなかったらなんなのよ状態で、横浜デートをした。




買い物したり、ご飯を食べたり、ゲームセンターで遊んだりしながら夜のメインの花火まで時間を過ごしていた。







ねえ、言うなら今日でしょ。







そんな思いを抱えていたが、なにもないまま帰宅の電車にのる。






このまま後藤くんの家にいくので、帰ったら絶対聞こうと心の中で誓った。








自分の決心のせいか、家路の途中は沈黙が続いた。ああ、私本当にきけるのだろうか。





ぐるぐると悩んでいるうちに到着し、ソファでいつものようにぎゅっとくっついてくつろぐ。






何回か唇を重ねたあとに、後藤くんがじっとみつめてきた。






「どうしたの?」





「あのさ、改めて言うのも照れるんだけど」






「なに?」






「すき」






本当に照れくさくて、言葉がでず、でも嬉しくて、にやつく顔を隠すように後藤くんの胸に顔をうずめた。






「順番違っちゃったけど、付き合って」






この一言だけで、ああなんて真面目な人なんだろうと、また感じた。




当たり前の一言かもしれないけれど、私にとっては特別だった。







「うん」







そしてようやくお付き合いが始まった。







呼び方がかわったくらいで、関係に大きな変化はないが、そこからは半同棲状態で、あちらの家にいた。






元々、一人が好きで結婚なんてできないと思っていた私にとって、それはとてもすごいことだった。





ずっと一緒にいられる人なんだなと思ったし、それが幸せなんだと、この歳にして理解した気がした。







同じ出張にいくときに、駅まで手を繋いで歩く朝は、なんて幸せなんだろうと思ったし、



憧れていたような、いわゆる普通の恋愛や普通の幸せがそこにあるんだと思った。